■今回のテーマ 「喉のつまり(ヒステリー球)」 今日は「ヒステリー球」について解説しようと思います。 よく患者さんから、喉が詰まる感じとか、喉の違和感があるということを質問されます。 「これは何ですか?」「内科に行った方が良いですか?」と聞かれますが、この喉の違和感には『ヒステリー球』という呼び名がついています。 意外と知られていませんが、これは自律神経症状やストレス反応の一種で、珍しくはありません。 ストレスによっては肩こり・頭痛・目眩・腹痛・お腹がゆるくなる・腰痛など、ストレス反応の人の出方は結構違います。 ストレスや疲労が溜まったときに体に出てくる症状の違和感は人によって違いますが、ヒステリー球は肩こりと同じようなレベルでよく起きます。 一番有名なものだと「白雪姫のリンゴ」があります。 白雪姫のリンゴというのは、白雪姫が母上から嫉妬されて、お母さんが魔女の姿を借りて白雪姫に毒リンゴを食べさせ、喉に詰まらせた白雪姫は息絶えてしまいます。 しかし、王子様のキスで毒が取れて目覚めた、という話です。 母親からの嫉妬や攻撃に対して、思春期を迎えた娘が声を失ってしまう、というのはよくありそうな話です。 「喉につまる感じ」は、いろんな神話やストーリーの中のモチーフにされています。 ある芸人の方が、若手のときにストレスを感じると喉が詰まって声が出なくなったという話をされていました。手を「コン」と叩くと、喉の球が抜けていくので喋れるようになる、というのを面白く話して笑いをとっていました。 僕はこれを見ながら「あ、ストレス球だな」と思いました。 ■治療について 治療は、ストレス球自体を狙っていくのではありません。 なぜストレス球が起きるのかを考えると、人生の中に問題があって、その問題があるので不安になります。それがどんどん悪化していくと、体に変化が来ます。 抱えきれない仕事があって、プレッシャーで毎日に疲れて、食いしばりで顎が痛いとか、頭痛がする・肩が凝る・喉がつまる、ということです。 不安や問題に本人が気づいていないことがあります。 「私はなにか問題があるんですか?」と言います。 話を聞いてみると、めちゃくちゃ職場でいじめられていたり、めちゃくちゃ残業をさせられているのに、本人は「普通なんじゃないかしら?」「私が我慢したら良いんじゃないかしら」とすごく無意識的なところに閉じ込められていることがあります。 そういう問題があるにも関わらず、「体の方が痛いけれど精神科かなと思って来ました」とか、「内科の先生から精神科と言われたから来ました」と言います。 その場合は、抑圧されている心理的な問題、本人の問題を意識できるところに持ってきて、意識が戻ってきたところで解決してあげる、というアプローチが必要です。 もう一個の問題として「言語化できない」という問題があります。 たとえば子供の場合、親からの虐●、もっと酷いのは性的な虐●があった場合、これが言葉にできません。 何が起きたかわからないけれど、強い不安感・倒錯的な快楽・気持ち悪さ・自己嫌悪感が起きて、どういう言葉で自分の今を表現したら良いのか、誰に相談したら良いのかがわかりません。 そもそも意識にまで持ってこれない、という話があります。 その結果、体の方に変化が起きてしまったということも多いです。 子供に限らず、大人であってもあります。 パートナーからの攻撃を受けたとき、これを言葉にできません。 「愛情表現じゃないか」という説明をパートナーから受けていて、言葉がない。 自分がどういうことをされているのかを学んでいないというのもあります。 あとは「一人で解決できない」という問題があります。 一人で解決できないから、抑圧されている。 もう考えるのをやめておくというか、意識には登っているけれども、隅の方に追いやっていることもあります。解決に向かっていかないとキツいです。 親や上司が酷い人で「耐えるしかないんだ」みたいな感じです。 「耐えて、とにかく今の生活を維持するしかないんだ」というそれだけになってしまうパターンがあります。考えている解決策は本当に正しいのかを、もう一度考える必要があります。 一人で解決できると思い込んでいるけれど、本当にそうなんですか?というのを、もう一度吟味しないといけないと思います。 ■問題がどこから来ているのか 脳の問題なのか、うつ病が何の原因もなく感情を出しているのか。 発達障害的な能力の問題から来る、落ち込みや問題なのか。 不安が強すぎるから来る問題なのか。 プレッシャーに弱すぎるから来る問題なのか。 認知の考え方の問題、対人パターンの問題、特定人との対人関係の問題、組織内の問題、チーム不和の問題、業務内容の問題、不景気の問題などいろいろありますが、とにかく問題解決に行くことが大事です。 ヒステリー球はあくまでサインであって、本当はどういう問題が起きているのか?ということを想像していくこと、それに合わせた治療をやっていくことが大事です。 ヒステリー球はどう治りますか?というと、『人による』というのが答えになるかと思います。 ------- いつもご視聴ありがとうございます。 毎日投稿しておりますので、お見逃しのないようチャンネル登録・高評価・コメントいただけましたら嬉しいです。 ▼精神科医がこころの病気を解説するChのチャンネル登録はこちら http://www.youtube.com/channel/UC7C5oRm6cGgbjJdPPEVeNMA ▼早稲田メンタルクリニック【こころ切り抜きCh】精神科医 益田裕介のチャンネル登録はこちら https://www.youtube.com/channel/UCi7vPZ6_Q9IIoI0995IovrQ ▼早稲田メンタルクリニック【ライブ切り抜き】チャンネル登録はこちら https://www.youtube.com/channel/UCRDVS4hMYqCYEskfrjamIVQ ------- ▼精神科医がこころの病気を解説するChとは? 一般の方向けに、わかりやすく、精神科診療に関するアレコレを幅広く解説しています。動画における、精神分析や哲学用語の使用法はあくまで益田独自のものであり、一般的(専門的)な定義とは異っているところもあります。僕がもっとも説明しやすいとたまたま感じる言葉を選んだだけなので、あまり学術的にとらないでいただけると嬉しいです。                  ▼自己紹介 益田裕介 防衛医大卒。陸上自衛隊、防衛医大病院、薫風会山田病院などを経て、2018年都内で開業。専門は仕事のうつ、大人の発達障害。といいつつ、「なんでも診る」ちょっと変人よりの町医者です。 趣味は少年ジャンプとお笑い。キャンプやスキーに行きたいです。2020年6月5日より断酒継続中。 ▼参考 厚労省みんなのメンタルヘルス https://www.mhlw.go.jp/kokoro/ カプラン 臨床精神医学テキスト第3 https://www.medsi.co.jp/products/deta... 倫理規定について https://note.com/mentalyoutubers/n/nb... ------- 当チャンネルは、早稲田メンタルクリニック 益田裕介院長の切り抜きチャンネルです。 フルで字幕をつけていますので、電車の中などの音が出せない環境でもご視聴いただけるほか、無音の部分等カットしているので、より見やすく視聴できるようになっています。 毎日投稿しておりますので、お見逃しのないようチャンネル登録をお願いいたします。 正しい情報で偏見を減らし、早期発見・早期治療となれば幸いです。 #早稲田メンタルクリニック #切り抜き #益田裕介 精神科,メンタルクリニック,うつ病,躁うつ病,双極性障害,適応障害,不安障害,統合失調症,引きこもり,社交不安障害,愛着障害,トラウマ,共依存,人格障害,カサンドラ症候群,サイコパス,生活保護,精神疾患,アルコール依存症,完璧主義,精神疲労,ASD,HSP,GAD,SAD,BPD,PTSD,SSRI,デイケア,就労支援,訪問看護,福祉,睡眠薬,アスペルガー症候群,毒親,認知症,燃え尽き症候群,強迫性障害,醜形恐怖症,カウンセリング,境界性パーソナリティ障害,発達障害,ADHD,注意欠陥,多動性障害,休職,甲状腺機能低下症,摂食障害,過食症,拒食症,認知行動療法,ストレス,パワハラ,孤独,パニック障害,自律神経失調症,自閉症,認知行動療法,社会復帰

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